伯方島まにまに日記

愛媛県伯方島に移住した25歳女の日々のおしゃべりです。

日本の地方アツすぎる問題【御陣乗太鼓】

 

 久しぶりに新幹線に乗ると、高速で流れていく窓の景色のほとんどが「田舎」であることをしみじみと感じました。確かにうら寂しい様子が高速移動中にも分かりますが、逆に言えば、日本には、田園や山並みの美しい景色や、未発明な地域資源がまだまだ残っているということだと思います。そこにシビれる憧れるぅ〜!って感じです。

 

で、私が薄給を捧げて新幹線でどこに向かったかというと、

 

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日本海

 

ズバリ、石川県輪島です。

 

めちゃめちゃ遠かった・・・。

日本海怖かった・・・。

 

単なる旅行なのですが、私がツイッターで輪島行きたいな〜と言っていたところ、反応した部活の先輩と後輩が同行してくれて、ちょっといいお宿に泊まり、海鮮を食べ、足湯に浸かり、浴衣でお酒を飲んで喋って、なんとも贅沢な時間を過ごせました。(この渋い旅程に喜んでいる大人な自分に感動する。)

 

私がなぜ輪島に行きたい!行きたい!とわめいていたかというと、

 

これだァァ

・・・ワン・トゥッ・スリー!

 

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くう〜!いい写真!

皆さん、もうお分かりですね?

輪島名物「御陣乗太鼓」ですよ〜!!!!

浴衣を着たヘベレケのじいさんに撮ってもらいました。

 

私も、むちむちの実を食べた無知人間なので、日本全国津々浦々の伝統芸能を今まで全然知らなかったし、興味を持ってこなかったのですが、

この御陣乗太鼓は、去年みうらじゅん氏が「御陣乗太鼓!御陣乗太鼓!」と色々なところで言い散らかしていた上、「みうらじゅん賞2016」も獲得したというニュースまでもが私のところに舞い降り、ちょっと調べてみたら一気に夢中になってしまいました。(みうらじゅんの発言に絶大な信頼をおいている有吉)

 

画像検索したところ、まず、お面の造形がすごい。あのお面の迫力だけで「これで太鼓叩いたらカッコイイに決まってるじゃん!」と声が出ました。

調べると輪島ではこの時期、毎日公演されているとのこと。

いくしかない!という直感を頼りに、はるばる実際の御陣乗太鼓を観て参りました。

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(いく前にネットで見て感動したお面の写真です。)

 

 

 

20:30、波が打ち付ける海の淵に立つ、輪島キリコ会館に人が続々と集まってきます。

正直、徳島の阿波踊り会館の阿波踊りみたいなもんが頭にあった私は、もしや全然人がいないのでは?(失礼)と予測して、友人たちとのんびり向かったのですが、想像以上の人入りに慌てて、少し足早にゴザ席を陣取りました。

室内だと思っていたので、意外や意外、屋外のステージの前にゴザとパイプ椅子が並べられていて、時間になるとはっぴを着たおじさんが現れ、開演の挨拶が始まりました。

まず、御陣乗太鼓保存会の人から、御陣乗太鼓の由来の説明があります。

それによると、昔々、上杉謙信能登に勢力を伸ばしてきた時、武器らしい武器を持たなかった輪島の村人たちが、村の平和を守るために、木の皮で作ったお面と、海藻の髪の毛をまとい、たいまつの下、太鼓を打ち鳴らしたことで、驚いた軍勢が、輪島攻略を諦めたという話が御陣乗太鼓の由来らしいのです。いわば、男たちの命がけの太鼓です。この由来がまた・・・痺れます。

 

さて、いざ始まると、酒臭いおじいさんばかりの会場は、暗くなり荘厳な雰囲気に。

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お面の男たちが「ウオーーーーーーーーー!!!!!」と獣のように叫んで登場すると同時に私の興奮はマックスに達し、ただ息を飲むしかありませんでした。

これは想像以上。

太鼓は聴いたことのないリズムと胸の突き刺さるような猛々しい響きで、

昔の人たちが、家族やふるさとの平和を守るために、死に物狂いで「ヤバい奴ら」を演じたその様子を想うと、何故か涙が溢れました。かっこよすぎて・・・・

 

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(御陣乗太鼓を見る人たち)

 

感動の20分間があっという間に終わり、

写真撮影タイムとDVD、ブルーレイディスクの販売へ・・・

毎日やっているだけあって、こなれ感がすごい保存会のみなさま。

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ヒーローショーの如し写真撮影タイム。癒される。

どこまで胸キュンなイベントなのでしょう。

 

こんなに素敵な伝統芸能を教えてくれてありがとう、みうらじゅん氏。

本当のクールジャパンはこれだ!と思いました。

 

改めて思います。

 

過疎や限界集落といえど、地方の面白さは半端じゃないです。アジアが残っている。

私にとって輪島はすごいパワースポットでした。

まだまだ、国内でも知らない場所や、文化があるのだと思うと、この先生きていくことが楽しみです。こうやって、いいものに出会って泣きたいなあ。

 

翌朝は、輪島の朝市を巡り、お土産にわっぱ弁当と漆塗りの箸を購入して、再び新幹線で帰ってきました。

 

帰りの新幹線でさくらももこの「さくらえび」というエッセイを読んでいると、しまなみ海道に父ヒロシと旅した話が登場し、「さて、私も島に戻りますか」とふるさとに戻るような気持ちになりましたとさ・・・。