伯方島に移住した私のまにまに日記

芸大卒業後に愛媛県伯方島に移住した22歳女のおしゃべりです。

※「万引き家族」を見て震えている私を見てください

この前、万引き家族を観ました。

 

わざわざ今治まで行っての興奮の1番スクリーン(1番でかい)だったというのに、すぐ前に座っている70代くらいの夫婦が、上映中、無言の瞬間なんて一度もなかったのではないかというレベルで喋り続けていた2時間を過ごし、激しい消化不良を起こすハメに・・・。

悩んだ挙句、また今治まで足を運び、心穏やかな2時間を過ごしまして、最近はこの映画のことを噛みしめるように考えている日々です。

 

映画好きといえば、本当に好きだけど、ちまたで傑作とか名作とか呼ばれている映画を全然観ていないのでそこは控えめな私ですが、是枝監督作品にだけは「はい!はい!好き!はい!好き!」と威勢がいいです。めっちゃ好きです。

 

「好きとか愛してるじゃ伝わらないほどの想い〜♪」みたいなしゃらくせえポップソングに生まれて初めて共感するぐらい、人生をかけて追っかけている人、追っかけ続けるであろう人が私にとっては是枝さんなので私は万引き家族についてもいろいろ語りたいんですけど、長くなるに決まっているので、飽きたら早めに読むのやめてくださいね。笑

 

私は、映画の中の細かい細かいところが好きでたまらないので、私はそういう言葉や仕草や画に映り込むものをとり逃したくないという思いで、新作が出るたび、映画館で血眼になって観ているヤバい人です。ので、1回目にお喋りな夫婦が前に座った時は、絶望しかなかった・・・

とはいえ元々集中力は圧倒的にないので、「上映中はお静かに!」と、上映前にパンパカパンツくんがわざわざ言ってくれていたことを、今一度前列の夫婦に投げかけるかどうか・・・気の小さい私が悩めば悩むほど、映画は大事なシーンへと進んでいくし、もう最後の方は、全てを諦めて、「また日を改めて観にこよう」という決意を固めていた次第です。

 

でも、その夫婦もなんだか憎めなくて、ちゃんと2人で映画の内容についていくために「あ、ここさっきの場所よ。ほら、駄菓子屋さん」とか「え???」「捕まった?」「あ、あ〜、捕まっちゃった〜あ〜」みたいな調子で状況を確認し合っていたので、終わった後も妙に怒る気になれず。

しかもエンドロールで、「ハッピーエンドじゃなかったねぇ」と言うので、音楽が細野晴臣であることへの皮肉も効いているな、と関心しちゃう。(多分本人たちはそういうつもりじゃないだろーけど)

 

2回目を観た後、監督インタビューや対談、いろんな人の評論とか番組をyoutubeであさってるのですが、本当に是枝さんの佇まいや喋り方が映画と同じくらい好きなので、映画が注目されて、監督の露出が増えることは嬉しいです。(特に想田和弘監督との対談が大好きです)

インタビューなんかで「神の目線にならないようにしている」と言うだけあって、いつも映画は「そして日々は続く・・・」というような感じ。監督が神であれば、この小悪党家族にも世間が期待する綺麗なハッピーエンドは作れたかもしれないし、もう少しまともなキャラクターにできたかもしれないけれど、それはしない。

いつも「この人ならどうする?」と自分に問いかけて、疑い続けて映画を撮るのだそう。だから映画を観ながら、すごい意地悪だな〜と思うし、はちゃめちゃに優しいな〜とも思うのです。とにかく世界を見る目が誠実だから。

 

あれだけのオリジナルストーリーをさ、脚本にして、監督をして編集をして、それがカンヌで最高賞を撮っても全然いつも通りな感じでさ、すごく謙虚で控え目でさ。素敵なおじさんだよね・・・

私だったら「イエーーーーイ!」ってガニ股ピースしちゃうよ。(無意味すぎるタラレバ論)

 

お分かりのように、私は是枝監督が宗教を拓いたら、怪しい教団でも入ってしまうのではないかと言うくらい心酔しているんですけど、もちろん監督だけの問題じゃなくて、映画を見るたびに、「その道のプロフェッショナルが結集して本気の仕事をしている!!!」という、仕事論みたいなものを突きつけられて有吉はガクガクしてしまうのです。あまりにも自分がチンケでくだらないので悲しくなることさえある。すごいある・・・泣

 

万引き家族」だったら、撮影の近藤龍人さんとか。是枝作品では初だけど、「桐島、部活やめるってよ」とか「そこのみにて光輝く」とか「横道世之介」だとか、私が好きな映画の撮影たくさんしている人で、メイキング見てたら、この映画でも監督が思いもよらなかった、長尺のワンカットでの撮影を提案して見事な画を作ったという話でした。このメイキング、1回目を見終わった後に見ていたので、2回目で「ここかーーー!スゲーーーー!」と感動。

あと、あの家があまりにも汚くて最高なので気になっていたら、これも美術の三ツ松けいこさんという人が監督の指示を正確に再現したセットを作っているのだそうです。あのセット本当に美術作品として素晴らしすぎる。実在感があるのに異常、異様。それがすごく映画世界に上手に溶け込んでいました。いいな〜あんな仕事、やってみたいな〜・・・なんて。

 

当たり前だけど、毎回俳優がすごいです。

最近は監督とほとんどニコイチになっている樹木希林だけど、凄まじかった。脚本を読んで「入れ歯をやめる」と自分で志願したのだそうで、序盤のみかんの食べ方とか、ほぼホラーでした。今までで一番マッドババア!最高ーーー!

 個人的に、海で自分の足をさすりながら「うわぁ、すごいシミ・・・」とつぶやくシーンが、うちのおばあさんを思い出すので好きだな。これもさ、すっごい小さなことなんだけど。こんなこと言ってたらキリないんだけど。(もう収集つかなくなっているのはバレているぞ)

 

だって安藤サクラも、リリーさんも、松岡茉優ちゃん(同じ平成6年生まれとか勘弁してくれよな)も、毎回ながら子役たちも、本当にすごくて、あの家族の全員が私と接触していないだけで同じ地球の同じ面で息をしている人たちに思える。

思っていたよりエグいことしてる家族で驚いたけど、めちゃくちゃチャーミングで心を掴まれました。

 

 

そして、映画のテーマ的なことなんだけど、

あの家族は、褒められたもんじゃないけど、じゃああの人たちをはみ出し者にしてバラバラにする社会は褒められるのか?っていうことだと思うんです。

私の祖父母世代には、訳あって養子に出された兄弟がいたとか、そんな話はよく聞きます。うちの祖母の妹もそうであったように。

もっといえば、私は江戸時代の町民文化が好きなので、落語に出てくる人情話や、長屋の話は、家族というものがもっと社会に開かれていて、家族とその他が、なだらかにつながっているような感じがします。

別にそういう文化が復刻すべきだ!とは思わないけれど、戦後、核家族になって、家族と家族以外の線引きがどんどん太くなっていって、日本人だ韓国人だっていう無意味な線引きにこだわったり、「他者」に対するアンタッチャブル感が増幅していってるような気がします。所詮家族なんて、それぞれの役まわりを演じているにすぎない集団なのに、私たちがどうしても「血」にこだわってしまうのはなぜか?

この映画の家族は、お金もないし、教養もないし、仕事もないし、ないものばかりだけど、「困っていれば誰でも歓迎」という今の社会では稀有な生き方ができる人たちなんですよね。そのおおらかさが「正義」によって打ち壊されていくのを見て、私は何を感じるべきか。

映画を見終わった後に、一週間もあの家族のことを考えてしまうのは、作り手がこのグレーな題材について真摯に向かっているということだと思います。

法やルール、規則とかいう「正しさ」を中心に、そのものさしで物事を測ることに慣れてしまえば、人間の多様な面白さを抹殺していくことになるんじゃないか。ちょうど、こんな時世なので、私はこんな風に感じました。

 

 

これだけ、私をウザいおしゃべり女にしてしまう是枝監督・・・罪な男だわ・・・(こりゃ有吉モテないね)

 

オールタイムベストは今作ではないんだけども、いろんな人が観て、いろんな切り口があって、いろいろ語れる映画だな、と思います。もちろん私のように、1人で悶々と映画のことを考えて、ツイッターの裏アカで夜な夜なつぶやいているだけの気持ち悪いんのもいますけども。

 

あー・・・・やっぱりこの話でブログ書くの疲れました。(勝手にやってろよ)

とにかく美しかったです。みなさん観たらいいと思います。

そしてお話してください。

 

最後まで読んでくれた人、多分いないと思いますけどありがとう。

 

そしておやすみなさい。

 

 

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